直立歩行までは程遠く、白目をむいてアワをふくような日を送る。 Hが帰国するまで数日だが、百年後ぐらい遠くにある。
どこからともなく助けの手が差し伸べられて、 飯が届き、おかずが届き、Aは誰かの大人に付き添われる。
我家はすっかり他人に助けられて存続している。 そして、この困惑をどういったらいいのだろう。
* 家庭の一大事において、他人の助けを経験したことがない。 むしろ親の代から避けてきたと言ってもいい。 家の中の事情について外の助けを得るのはみっともないという雰囲気で育った。
だからどちらかといえば、「優しい助け合いの集団」に身をおかないことが自分のアイデンティティであり、 身をおかずともやっていかれるよう自立することを目標に生きている。
それは大変でしょうちょっと待ってなさいと、優しい世話を身に受け、 彼ら彼女らに足を向けて寝られないほど感謝する境遇にあって、 この助けを受けた自分はこれからどうすればよいのだろう。
届けられたタッパーの浅漬けひとつみても泣けるほど戸惑っている。
2006年03月03日(金) ひとくぎり 2005年03月03日(木) 低俗の海へ 2004年03月03日(水) 寒の戻り
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