海外における日本食レストラン認証制度についてのニュース。 ラジオで、社会学者だという人のコメント。
氏曰く、これは複数ある正しさのうちの一つを強制的に押し付ける不健全な制度である。 新しい文化が生み出されるのを阻害しているし、日本人以外によって日本食が扱われるのを認めない姿勢が見え隠れする。
*
自国の人間以外に対して文化の門戸を広げるのは、 多分日本以外どこの国でも困難だろう。
でもまあ、複数ある正しさのうち一つしか認めない姿勢というくだりは、 うまいこと言うなと感心した。
ちなみにこの認証制度は欧米で不評極まりなく、 「sushi police」と揶揄されているのだそうである。
*
この国は、島の外からやってきた文化にさんざん変てこな加工をして、 自国の文化を創ってきたんである。 それがひとたび輸出となるや、けちな姿勢に転じるのは、貧しい感じがする。
イタリア料理店でパスタに明太子を入れるなとイタリア人は怒るだろうか。
中華料理店で中華丼を出すのをやめろと中国人は言うだろうか。
ステーキハウスでステーキに大根おろしをつけたら、アメリカ人に訴えられるだろうか。
*
日本での「奇妙な加工」は、あげたらきりがない。 この漢字かなまじり文だって、中国の人からみたらものすごく変だと思う。 そして私は、だからといって寛容な世界各国にお許しいただいているという意識も別にない。
そうだから、いいではないか。 懐石料理に納豆が供されても、スシにアボガドがのっていても、 その他一切の想像を超えたアレンジがなされて「日本食」とよばれても。
そのうちに「フランス風日本料理」というジャンルができたとしたら、 たぶんそれは素晴らしい、文化の暖簾分けだ。
それに大体こちとら、正統な江戸前握りなどおそらく食べたことがない。
2005年02月21日(月) 博覧会と私 2004年02月21日(土) TO PRAY
|