暖かい晴れた午後の昼下がりのこと。
Hは出発前の準備に追われている。 出張と言えどもやることは岩登りだから、 ヒマラヤ行きとあまり変わらないいでたち。
どんな珍道中になるかねとAに話していたら、 寂しくなるからそのことを言わないでくれという。
一週間など不在のうちには入らないし、 行先はヨーロッパですよ、と言ったら、 それでも一人親なんて寂しいじゃないのなどという。
HもHで、なんだか水杯でも交わしたさそうな気配である。
しかしこちらは、余裕のない身である。 ウィークデイの昼間、出張へ行く者と別れを惜しんでいる場合ではなく、 悪いけど、と思いながらPCに向い続けた。
そして晴れた午後の昼下がり、Hはじゃあねと旅立っていった。 しんとした家で一人になって、なんだか寂しいじゃないのと思う。
2004年02月22日(日) 日本海側の話
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