どの街にも一軒か二軒、必ず、素敵な職人がいる蕎麦屋とパン屋がある。 これは信州で特筆すべき点のひとつかもしれない。
そのパン屋で年末にみかけた、メッセージブレッドなる商品。
「イラク戦争に反対します。価格のなかから10円を、復興支援団体へ寄付します。」 というようなことが書いてある。 そして、発売から今までの売上個数と、寄付した金額が書き添えてあった。
まじめな店主だから、自分に何ができるか考えたのだろう。 まじめにパンを焼くことしかできないし、 まじめにパンを焼くことならできる。 考えた末に思いついた商品なのだろう。
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おおよそほとんどのことにおいて、自分は購入消費することしかできない。 社会や政治に対するコミットメントは、その範囲が極めて限られている。 しかし、購入消費することはできる。息をするぐらい無理なく幅広く。
こうしてメッセージフラグのついた商品やサービスを選択的に購入することは、 何かの署名を集めるとか、国会の前を行進するとか、 そういうことに比べれば格段に簡単だ。今日も出来るし明日も出来る。 省エネルギー型の製品を選ぶ時のような按排で、やればよいのだから。 そして、払った金額の分だけ確実に経済は動き、意志は反映される。
「支持できない国会議員の地元へは旅行に行かない」 と宣言することだって、十分国民の意思表示になるのだ。
票よりも金がものを言うというのなら、 これからはもう、その方便に従ってものを言おうと思う。
2006年01月18日(水) 悪貨が駆逐するもの 2005年01月18日(火) 悲嘆エレベータ 2004年01月18日(日) コインロッカーベイビーズ
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