2012年04月12日(木) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・63 |
「そちらの方は白花の方かしら? はじめまして。私は藤堂巴(トウドウトモエ)。『藤の湯』の従業員でソハヤさんの妻です」 おっとりとした雰囲気の黒髪の美人。初対面のはずなのになぜかこちらの方がどぎまぎしてしまう。 「はじめまして。宮本伊織(ミヤモトイオリ)です」 「トモエさんはね。故郷では『シラハナナデシコ』って言われていたんですって。 トモエさん、イオリさんはシラハナから昨日ついたばかりなんですよ」 「あら、やっぱりそうなのね。遠いところからティル・ナ・ノーグへようこそおいでくださいました」 パティさんの声にこくこくとうなずいてしまう。確かにしとやかな雰囲気に何か芯の強さが感じ取れる。まさに白花撫子と呼ぶにふさわしい。 「そちらの方はつかれているのかしら? 二階に休憩どころがあるからお連れしましょうか?」 心配そうな声に慌てて首を横にふる。初対面の方にそんなことまでしてもらったら申し訳なさ過ぎる。 「この人の家に昨日からお世話になっていて。街を案内してもらっている途中で眠ってしまったんです」 確かに案内はしてもらったし、クレイアと改めてお友達になることができた。だけど、それから先のことは想定外だった。ニナちゃんがグールみたいと言っていたけど本当にこのままだったらどうしよう。 「だったら二階にでも連れて行くといい。今なら人もいないだろ」 そんなことを考えていると店主のソハヤさんがこともなげに言った。 「とはいえにいちゃんの図体はでかそうだからなぁ。問題はどうやって運ぶかだ」 連れてくじゃない。荷物みたいに『運ぶ』になってる。 連れて行くにしても運ぶにしてもソハヤさん一人でも大変そうだし女性三人でも難しそうな気がする。一体どうやって連れて行くか。そんなときに思い浮かんだのは先日の見知らぬ人からの手紙だった。
過去日記
2011年04月12日(火) 「クール系お題」その9 2010年04月12日(月) 委員長のゆううつ。10 2006年04月12日(水) 最近ごぶさただったので 2004年04月12日(月) SHFH11−8
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