2012年04月08日(日) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・59 |
結局、クレイアのお店では日持ちのするお菓子を買った。本当ならこのままグラッツィア施療院に挨拶に行きたいところだけど、先生は数日お休みだって整体師のリオさんが言っていた。それならせっかく案内役のユータスさんもいることだし街を歩いてもいいのかな。 「観光するならここへいってみなよ。まずはそいつの頭も覚ました方が良さそうだし」 その案内役は半ば船をこいでいるような気もするけど。1人でうろうろするより店員さんの提案にのるほうが確実だ。 「ここをまっすぐ進んで、突き当たりを右にまがる」 お菓子屋さんの店員さんからもらった簡単な地図をたよりに道を進む。それにしてもここって海の街なんだなあ。船から下りたときから感じていた。わたしの住んでいたところはカルデラだったから田んぼや畑だったから潮の香りなんか全く感じることはなかった。 「その後は左に曲がってひたすらまっすぐでいいんですよね?」 確認もかねて隣をふりかえると誰もいない。あれ? さっきまで一緒に歩いていたはずなのに。 慌ててさっきの道を引き返すと。 「…………」 ユータスさんは寝ていた。 道の真ん中で。周りの人が遠巻きにみているけれど、思ったより反応が薄いような気がするのはわたしの気のせい? 「ユータスさん!」 軽く肩をゆすってみたけれどさっきと同様やっぱり起きてくれない。 「だから、ユウタってば!」 だからもう一度さっきと同じ要領で起こそうとしたけれど、耐性がついたのか眠り足りないのか、やっぱり起きてくれない。かといってこのまま野ざらしにしておくわけにもいかないし。 「こんな道ばたでどうしたの?」 顔をあげると、そこにはやわらかなハニーブロンドを一つに結わえた青い瞳の女の子がいた。
過去日記
2011年04月08日(金) 「委員長のゆううつ。」STAGE1−9UP 2010年04月08日(木) 委員長のゆううつ。7 2007年04月08日(日) 「EVER GREEN」11−9UP 2006年04月08日(土) お花見 2004年04月08日(木) SHFH11−7
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