2012年02月03日(金) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・20 |
「わるいのぉ。こんなところまで着いてきてもらって」 アフェールから出て、今度はジャジャじーちゃんの行きつけの場所へつきあうことになった。 「いいんです。わたしもお土産選んでもらったし」 ティル・ナ・ノーグの地図は購入済み。お父さんからの手紙で叔母さん夫婦の場所もわかってるからそんなに急ぐ必要はないし。 「どこへ行くんですか?」 お土産を片手に問いかけると行きつけの店の一つじゃよと返された。次いで、今のわたしにとってためになる場所だとも。 『わたしにとってためになる場所』一体どんなところなんだろう。そんなことを考えながら歩いていると、大きな屋敷に到着した。 本当に大きい。家じゃなくて屋敷って呼んだほうがいいのかも。行きつけってことは知り合いがいるのかしら。 「あれ? ジャジャ爺じゃん」 若い男の人の声。そこには短く刈り込んだ赤毛の男子がいた。 「今日は診察の日だっけ?」 薄い緑の瞳がわたしとジャジャじーちゃんを交互に見て首をかしげる。 「お孫さん? ……にしては、髪と目の色が違うか」 「違います」 「今日はお前さんの日じゃよ。こっちの嬢ちゃんは荷物をここまでもってきてくれたんじゃ」 促されて包みを開けるとさっき買ってきたばかりの林檎のクッキーが姿をあらわした。 「うっわー。美味しそう。これってアフェールの?」 「嬢ちゃんのお土産探しのついでに買ってきたんじゃよ。ここには世話になってるからの」 「じゃあ遠慮なく……」 受け取ろうとして、男子の注目がわたしに注がれる。上から下までじっくり見られて――見つめられて。わたし何かしたかな。もしかして、こっちの言葉の発音ができてなかったとか。 「あの……?」 じっと見つめられて一言。 「いい体つきしてるよね」
わけがわからなかった。
過去日記
2010年02月03日(水) 「世界観構築における100の質問」その3 2006年02月03日(金) 連想バトンです 2005年02月03日(木) この数日間 2004年02月03日(火) SHFH10−2
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