2010年05月02日(日) |
委員長のゆううつ。28 |
彼は交換留学生だったんです。本当はもう少しいるはずだったんですが、身内に急用ができたとかで一足先に帰ってしまいました。 何故詳しいかですか? これでも教師のはしくれですし、同じ故郷の出身ですからね。こくらいは把握してないと。
「どうしたの。せっかくの文化祭なのに辛気くさい顔しちゃって」 顔を上げると売店のおねえさんがいた。 「中村さん」 「みのりさんって呼んでって言ったでしょ」 「それは先輩が」 言ったんです。そう言おうとして口をつぐむ。先輩はもういないんだった。派手なあの人のことだ。文化祭じゃ目立って仕方なかったんだろうな。 「彼がいなくてさみしい?」 「そんな間柄じゃないです」 「そのわりには顔がさみしそうだけど」 そうなんだろうか。まあ、まったくこれっぽっちも何とも思わないかと聞かれたら嘘になるけど。 「さすがみのりさん。年の功にはかてない――」 「何か言った?」 「さすがお姉様です」 慌てて訂正して、大きくのびをする。 「クレープ屋さんやってるから。あとで見に来て下さい」 それだけ言うと後半の仕事にもどった。
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2007年05月02日(水) 裏EG2 書きながら思ったこと 2004年05月02日(日) 衝動書き
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