2010年05月01日(土) |
委員長のゆううつ。27 |
教室はみんなに任せるとして。売店で飲み物でも買ってこよう。 階段を下りて廊下を渡って。途中で誰かにぶつかる。 「すみません」 鼻をおさえると目の前には金髪の男の人がいた。 「休憩ですか?」 ハザー先生だ。英語の水城先生が産休に入ったからその代わりだって聞いてる。 「そんなところです。よかったら先生も寄って下さい。おいしいですから」 「そうですね。生徒達のお祭りも面白そうですし。高木さんは確か6組でしたよね」 「はい。1年6組です」 「わかりました。是非寄らせてもらいましょう」 そう言ってさわやかに笑う。金髪碧眼にすらっとした長身の体格。日本語も流暢だしきっと周りにもてもてなんだろうな。 それじゃあと頭を下げて、ふと足を止める。 先生は英語教師で、外国人だ。なら、彼のことも知ってるかもしれない。 「先生は留学生のこと知ってますか?」 だめもとで問いかけると先生は訝しげな顔をした。 「留学生といっても、複数いますが」 確かに。あたしのクラスにだっているし――あ、そっちは帰国子女か。3組にも女の子がいるって聞いた。 「2年の外国人の男の子です。今日はきてないのかなって」 言い直すと、先生は笑顔のまま口を閉ざした。 「先生?」 爽やかな笑顔なんだけど。何かを考えあぐねているような。伝えるべきか伝えないべきかを考えあぐねているような。そんな表情で。 「気になるんですか?」 そう聞かれたのは三分くらいたってのことだった。 「少し」 一緒にパンを食べた仲だし。 またも考えるそぶりを見せた後。先生は苦笑して告げた。 「彼は祖国に帰ってしまいました」
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