毎春、 毎秋と。
季節の変わり目に、 自身の起源を納める場所に立ち。
手を合わせる。
唯、 其れだけの振る舞いに。
人は、 多くの想いを委ね過ぎだろうか。
墓参り。
親に、 大人に、 育つ前に逝った父との会話に。
俺は、 委ね過ぎて居るのだろうけれど。
存命の親より前に、 鬼籍の親に会う事を。
あの子は殊更気に掛け。
「お袋に挨拶する前に行く事。」 「結構気にしてるんだ。」
「あら。」 「良く御礼を言って頂戴な。」
方や。
気にする様な人では無いと、 あの子に、 やんわり伝えながら。
一方で。
母親相手に、 恐る恐る口火を切った。
「水。」 「上からはかけないでね。」
「そうなん?」 「駄目なん?」
頭が濡れる事を極端に嫌がった、 父の話を。
あの子に、 伝えながら。
本当は。
何時か、 元彼の墓の前で。
並んで、 掌を合わせられる事を。
希う。
---------- References Aug.03 2015, 「観に行く場所では無いですか」 Apr.21 2012, 「未だ進めぬ日付でしょうか」 Sep.21 2011, 「照らせる深さでしょうか」
|