互いの想いが指し示す、 其の対象が。
例え、 同一の物体に形容されたとしても。
決して。
同じ物を指し示して居る保証など、 無いのだ。
其れ故に。
恰も、 同じ対象を観て居る気に陥っては。
時に。
互いの擦れ違いに、 一喜一憂する。
二人で築こうと、 向かって居る其の先は。
果たして、 同じ場所を示して居るのだろうか。
笑いの渦の中で。
ふと、 想いを寄せて了う。
「ぞうさん!」 「ぞうさん!」
俺の、 其の対象を指差して、 連呼する娘に。
困惑し。
「病気うつるからよしなさい!」
「何もねぇよ!」
姫の、 冗談交じりの躾に、 抗議した。
娘は。
唯、 下着に描かれた象を、 指差して居ただけなのに。
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