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■ 祈りもて山の恵みを頂く日 贅沢だとも思うけれど
最近、食が細くなりました。猫のことではなく、私のことです。
あ、練ちゃんは先日の検診で体重が増えていることが判明。これ以上太ると心配だけど、いまぐらいがちょうどいいかもしれませんね、という体重。 もともと太りやすいので、これからは逆に気を付けなければなりません。
食欲旺盛な練ちゃんに目を細めているうちに、なぜか私の食が細くなりました。 前から徐々に食欲は落ちてきていたのですが、ここへきて加速しました。 手術や入院の影響もあったのかもしれませんし、足が悪い故の運動不足の影響もあるでしょう、歳なので代謝が下がっていて仕方がない部分もあります。 が、そうなってくると、たくさんは食べられないので、なんというか、逆に貪欲になるというか。
美味しいものを、少しだけ。
以前の仕事先に10歳ぐらい年上の、でもとてもエネルギッシュで元気な女性がいました。細くて小柄で、でもちゃきちゃきしていて姉御肌で、よく飲みに連れて行ってくださったりしました。 彼女の口癖が「歳だから、たくさんは食べられない。少しでいいから美味しいものを食べたい」でした。ちょっと高級な牛肉とか、ちょっと高級な果物とか、あるいは美味しいチーズやフランスパンとワイン、そんなのがいい、と。 高級な牛肉や果物やチーズやワインは、まあアレなので、ちゃんとした(だから少々お高い)納豆やちゃんとした(だから少々お高い)味噌などを購入したときに、おすそ分けしたら、とても喜んでくださったものです。
彼女の言葉を思い出します。まったくもって、今の私がそれ、です。
野菜は好きです。でも、これも以前ほどたくさんは食べられなくなっています。が、もやしや豆苗、スプラウトなど、お手頃な価格で栄養価もあり、産地や天候に左右されないものもたくさんあります。探せば少々割高でも美味しい地野菜を手に入れることもできます。
魚も、まあ、それなりに美味しいものが手に入ります。というか、魚は意外と缶詰でも美味しかったり。それは私の味覚が魚方面に欠如しているから、かもしれませんが。
で、問題は肉です。
前にも何度か書きましたが、基本的に肉は好きです。それも塊肉をがっつりが好き、です。何故かサシの入った高級な牛肉には嗜好が向かいません。和食のコースの最後に少量出てくる場合は、美味しくいただきますが、家で食べたいとは思いません。
最近、気持ち的にはがっつり食べたいのに、塊肉を持て余す、ということが多々あります。小分けにして冷凍にするのですが、なんとなく持て余すという……。
そんな折、ニュースで里に下りてきて畑を荒したり人を襲ったりする獣(熊や鹿、イノシシなど)のニュースを見ました。山が開拓されたり、今までなかった道路が開通したりした結果、食料が減る場合もあれば、人が山に入って(ハイキングとかキャンプとか)うっかり人間の(人工的な)食料を与えたりしたがために里に下りてくる動物が、里に影響を及ぼして害獣という位置付けになってしまっている、というニュースでした。
で、害獣となり果てた彼らは狩られた後、どうなるのか、が気になりました。 いろいろ調べたら、それぞれの地方で飼料にされていたり、食肉になっていたり、なんとか再生の道を探っているようでした。
彼らを食してみて、山の恵みに感謝するのはどうだろうか。ふと、そう思いました。 御大層な思想などありません、単に肉好きのアンテナにヒットしたにすぎません。
とりあえず、そういった食材を扱っているネット店舗をいくつか見つけ、いろいろ(距離とか、事業内容とか)確認したうえで、あるネット店舗に注文しました。それは、リュウが愛してやまない信州の、とある店舗でした。
結果、スーパーで購入する鶏肉や豚肉はもちろん、下手すれば牛肉よりも割高な野生肉にはまってしまいました。
もちろん、スーパーの割り引きでも肉を購入します(そうしないと、我が家の経済が破綻します)。 でも、野生肉のおいしさは格別です。 フレンチではジビエという料理分野がありますが、そんな上品なものではなく、普通に焼いて塩コショウだけ、などという食べ方もしています(酒や醤油に漬けたりもしますし、味付けのものを購入したりもしています)。
正直、多少固いです。でも、噛み切れない固さではなく、歯ごたえがあるというか、噛み応えがあるというか。なんだろう、しみじみと美味しいのです。
ああ、私って肉食だったのね、と再認識するぐらい、美味しく感じるのです。 ありがたいことに、よく噛むせいか、少量でも満足します。それでも割高ではあるのですが。
野菜や穀物に関しては、自然農法の価値が認識されたりしていますが、こと食肉に関しては、まだまだ……というか、食肉に関して自然農法を取り入れるのは、おそらく難しいのだろうと思います。 わずかに、平飼いの鶏とか、放牧されている牛とか(豚に関しては、あまり知識がありません、すみません)。
害獣として処理されてしまう彼らを“感謝して頂く”、というサイクルができれば、少しは救われるのかなと思ったりもします。反面、それが商業サイクルに乗ってしまうと、おそらく全く違った形になってしまうのだろう、という予測もできます。
とりあえず私は、こそこそと山の恵みを頂いて、こそこそと感謝する生活を送ることにしています。
2018年10月25日(木)
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