にゃんことごはん
ごはん



 もう二度と 触れることさえ叶わない そのすべらかな銀の手触り

リュウの予定と私の仕事の都合がついたのが今日だったので、ショーの火葬に行ってきました。
冷たく動かなくてもショーがショーの形をしていたときには感じなかった喪失感が、今はあります。

もっと一緒にいたかったよ。
寝たきりでもいいから、生きていてほしかったよ。
もっともっと大変な思いをさせてくれても、よかったんだよ。
でも、ショーは逝ってしまった……。

もともとショーは気配を感じさせない仔で、どこにいるのかわからないのに、ご飯のときになると「メシメシ」と煩く鳴くニャンやレンやキラをよそに、気づくと静かにお皿の前でスタンバイしているとか、ふと気づくとドアの隙間から顔半分だけのぞかせて、じっと私を見ているとか……そんなだったので、今もどこからか寝起きの顔でショーが現れるのではないか、と思ってしまいます。

子猫のころから、かまえかまえ、と甘え鳴きすることもなく、ごくたまに、私の足にチャイチャイと前足をひっかけて、気まぐれにオヤツの催促をするぐらい。
抱っこもポンポンもあまり好きではなく、でもそっと首筋を撫でるとぐるぐるのどをならすような、そんなところがありました。
そうそう、ショーだけは水を水道から飲むので、我が家の水道の蛇口にはキッチンと言わず洗面所といわず、浄水器が取り付けられています。
朝の忙しい時間、リュウの朝ごはんの支度と弁当作りを終えて、さあ、調理器具を洗いましょうというときに限って、ショーが水を飲んでいて、「ああもう、洗い物は帰ってからだわ」なんてことも多々ありましたっけ。

いつもマイペースで、お気に入りの場所(いくつかは把握しているけれど、いくつかは、本当に謎だった、大して広い家でもないのに)でくつろいで、ご飯も適量食べ(決して太ることもなく適正体重を保ち)、あまりベタベタすることもなく、でも、帰宅するとお迎えに出てくれて、客人がくれば遠目に観察して、たまに近づいてみたりして、いつも「ボク、イケメンでしょ?」とばかりにスラリとした姿で佇んでいる、そんな仔でした。

だからこちらも、必要以上にかまうことはせず、でも、ショーがごくたまに甘えてくると嬉しくて嬉しくて、内心「ひゃっほー」と雄たけびをあげながらも表には出さず、さりげなさを装って接していました。

だから、いつも傍にいたという感じではないのに、今は、とても寂しい、
悲しいというより、寂しい……。
I miss you ってこんな感じなのかなと、思います。

毛皮を着替えて戻っておいで、と言いたいけれど、今から仔猫を責任もって育て看取るには、私自身が少し不安な年齢になっています。
だから、ニャンとレンとキラを看取って、そちらに行くまで待っていてね。

もう亡くなってしまった仔も、いまいる仔も、ほんとうにいとしく、かけがえのない仔だけど、やっぱりショーは私にとって運命の仔だったんだな、と、亡くした今、改めて実感しています。
ショーと私の間にだけ通じる何かが、確かにあり、今はそれがなくなってしまった……それが、今の私の喪失感の核になっていると思えるから。

リュウが選んだ骨壷入れは、綺麗なパウダーブルー。
「ショーちゃんの毛皮のシルバーはさ、暖色のまじっていない、ほんっとに綺麗なシルバーだったから」
いくつかあったなかで、まじりっけなしの綺麗な寒色のパウダーブルー、だそうです。
今は大学で物理学を専攻しているリュウは、高校の3年間美術コースにまなんだせいか、ちょっと独特の美的感覚と拘りをもっています。

ジュリナ、ポッポ、あみっちに、ショーも並びました。

食の細くなったショーに、仕事から帰宅してご飯をあげ、しばらくしてまたご飯をあげ、仮眠して起きてご飯をあげ、ショーを抱っこしながら、ソチオリンピックを見て、またご飯をあげ、仮眠して起きて、ご飯をあげ、仕事に行って、昼に帰宅してご飯をあげ(リュウがいるときはリュウがご飯をあげ)……そんなふうに、過ぎた2月。記録的な積雪のなか、細く軽くなったショーを抱っこして過ごした日々は、大変だったけれど、幸せでもありました。
最後に、そんな幸せをくれたショー。雪が降るたび、冬季五輪の時期になるたび、思い出すのでしょうね。

2014年02月18日(火)



 いとしき仔、いとしき仔よと繰り返す、答える声は もはやないのに

ショータロー、永眠

誕生日を来週に控えていた、今日、午後6時45分

伝染性腹膜炎は検査の結果、陰性だったのですが、その後の検査で心臓の疾患が疑われ、そこから1週間がんばったのですが、力尽きたのかな……たぶん、最終的な死因は心不全だと思います

でも思ったよりも苦しまず、この1週間、折を見ては抱っこする私に嫌なそぶりも見せず(抱っこ嫌いな仔だったのに)、それどころか、私の姿が見えないと鳴いて呼び、抱っこすると膝の上で丸くなって眠るという状況のなか、本当に、静かに亡くなりました

我が家の廊下には、PCが入っていたダンボール箱があり、その上に、通称「ショーちゃんの玉座」と呼んでいる小降りの段ボール箱が設置されています
寒い今は活躍時ではないのですが、春や秋の季節になると風の吹き抜ける廊下で、ショーがよくその「玉座」に丸くなっている姿が見られました
いま、ショーはその玉座で眠っています

廊下を通るたび、つい声をかけてしまいます
初夏から夏にかけて、残暑厳しい夏が過ぎて秋のころ、のように、ただ、そこで眠っているかのように思えて
でも冷たくなったまま、ショーは動く気配もありません
生き返ってくれないかな、なんて馬鹿なことを思ったりしつつ、冷たくなったショーに触れ、少しずつ、ショーの喪失を受け入れている私です



2014年02月16日(日)



 いとしき仔 思い出すのは出会いの日 小さき体の力強さ

今いる我が家の猫たちは、ショータローを除いては誕生日がよくわかりません。捨てられ猫のニャン、元飼い猫と思われる野良のレン、野良親子だったキラ、みんな我が家に来たときに、たぶん○歳ぐらいという推定でした。
ショーだけはペットショップで出会ってしまった純血種のため、誕生日が明確です。

三ヶ月の子猫で、ペットショップの硝子越しにピョンピョンと飛びついてこようとした姿は今でもはっきり覚えています。
ペットショップで動物を買うことに抵抗があったため、一度はスルーしたものの、どうにもほっそりした顎と釣り目というアメショーらしからぬ顔立ちが忘れられず、結局、我が家の仔に迎えたのでした。

そのショーは今月23日で14歳。あみっちを迎えたとき、ストレスからか血尿が(ニャンとともに)出た以外は至って元気、ダイエットの必要もない適正体重を常に保ち、活発でマイペースなツンデレ野郎でした。
ここ数年、夏の暑い時期に食欲を落としてやせるのが心配でしたが、激やせすることはなく、高カロリーのフードですぐに元に戻っていました。
とはいえ、歳も歳ですし、純潔は雑種よりも弱いと聞きますし、気を抜けなかったのも事実。

年明け、食欲がなかったときも、いよいよだろうか、と心配しました。
幸い、歯肉炎とぐらついている歯の処置をしたら食欲も戻り、元気になりつつあったのですが、また食べなくなりました。
そしてわかったのが、胸水がたまっていたこと。
水を抜いて調べた結果、猫エイズも猫白血病もシロ、心臓や肺の奇形等や悪性の腫瘍も現時点では認められないこと。あとは伝染性腹膜炎ですが、これは通院している病院では検査できないため、外部委託となりました。

さて、伝染性腹膜炎だったとしても、確たる治療法がないのが現状だそうです(インターフェロンぐらい? でもこれも効果がどれほど期待できるかは疑問のようです)。伝染性腹膜炎ではなかったら尚のこと、何を治療すればいいのかわかりません。
あとは苦しくないように胸水がたまったら抜いて、少しでも楽にすごせるように気を配るぐらいです。

ショーは抱っこが嫌いな仔で、抱き上げると器用に体をひねってぬるりと腕をすり抜けてしまうのが常でした。私が寝ているところにきても、布団のなかに潜り込んでくるニャンやレンと違って、足元のあたりに丸くなっているような仔でした。それが、ここへきて抱き上げるとおとなしく腕の中に納まり、そのまま眠ってしまったり、私の布団のなかで寄り添って丸くなって眠るようになりました。
ツンデレのツン部分が欠落したショーは、我が家に来た当初の子猫時代のショーのようです。でも、あの生き生き溌剌とした子猫ではありません。
希望は捨てていませんが、同時に覚悟もしています。

あと何日なのか、何週間なのか、何ヶ月なのか、あるいは意外と何年だったりするのかも……と思うと、ショーに限らず、老齢猫ばかりの我が家、いつなんどき何があってもおかしくないよな、と思います。

16年ぶりとかいう大雪の今日、膝の上にショー、隣にレン、ニャンは悠々と猫コタツを独占。居間を走り回るキラを眺めつつ身動きとれないまま、ずっとトイレを我慢している私です。

2014年02月08日(土)
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