想いの在処を。
丁寧に、 丁寧に、 追尾出来て居た筈なのに。
ふわりと、 其の軌道を外され。
生じた隙間へ、 極めて厚い壁を捻じ込まれる。
針の上を歩く様な緊張感は。
別段、 苦では無いのだけれど。
僅かに踏み外した、 其の刻を。
正確に捕らえて応じる、 手際の良さと、 強かさに。
踏み外した、 僅かな歩容の乱れを。
捉えて返す、 其の反動の大きさに。
怯み。
そして、 呆れて了う。
俺の揺らぎで、 あの子を縛り上げては。
「あはははは。」 「もうあげるって言われましたけれど?」
鬼の首を獲ったかの様に。
其の存在は、 叫び、 闊歩し始める。
違うか。
針の上を、 必死に歩いて居るのは。
飽く迄、 あの子だよね。
---------- References Mar.02 2015, 「信じぬ事が信じる事でしょうか」 Feb.22 2015, 「私は誰でしょうか」
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