幾度も、 幾度も、 反芻されて初めて。
想いは、 固化されるのだろうか。
其れとも。
反芻される度に。
新たな姿で、 想いは刻まれるのだろうか。
自身の位置を、 刻々と進む針で計りながら。
鉄ノ井の脇を、 人混みを縫う様に急ぐ。
言の葉に想いを奪われ、 歩を緩めては。
慌てて歩みを早め、 其の距離を保ち続ける。
腫れ物に触る様に、 遠慮勝ちに、 数歩前に位置しながら。
一直線に、 もう青々として了った躑躅の中を、 歩む路。
最近、 鮮明に想い出す画には。
幾度想い返しても。
其の先の記憶が、 見当たらないのだけれど。
其の、 刹那の記憶をなぞれずとも。
少しは、 薄れた時が蘇るだろうか。
「御詣りして来たよ。」 「段葛工事中だった。」
「通れないんだね。」
「其のせいも在るんだろうね。」 「殆ど裏道使ったよ。」
「あの時とは全然違う道なの?」
「平日なのにね。」 「人が多過ぎて動けなかった。」
其の路は塞がれ。
其の画は、 雑踏に押し出されて。
二人で歩いた、 僅かな散策の記憶は。
今日も、 辿らせてくれないね。
---------- References Aug.15 2002, 「安堵しても良いのですか」 Apr.20 2013, 「初めて繋がった日に為るのでしょうか」 Jan.04 2015, 「強く想える刻ですか」
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