永い、 永い、 時の流れの中で。
例え、 年一度の機が許されたとしても。
抑も。
自身に付与される機は、 五十余程度で。
其の内。
自身の手にし得る機など、 僅か数回だろう。
其れ故に。
数在る機の中から、 其の地の、 其の機を、 掴む刻など。
本当は、 極めて稀で。
如何に、 強く望んだとしても。
眼前の、 其の咲き誇る華を。
互いの眼に、 焼き付ける刹那は。
恐らくは、 奇跡なのだ。
「一度来て観たかったんだ。」
北上の流れに逢わせた、 並木道の、 花魁の流しは。
確かに、 俺の望んだ景色だけれど。
「一度来て観たかったんだ。」
「誰と?」
「馬鹿。」
「ふふ、一個叶ったね。」
其れが、 今で。
其れが、 絶好の季で。
其れが、 あの子との機で在る事に。
感謝した。
幾つ。
後、 幾つ。
願いを叶えられるのかな。
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