掛け違えた、 其の釦は。
後戻りして、 外して、 掛け治さねば為らないから。
一旦、 歩みを留め、 顧みて。
改めて、 石を積み始める。
其処には。
振出しに戻る、 覚悟と、 気力と、 意志が。
左右双方に、 同時に、 必須なのだ。
其れ故に。
何方か一方でも、 其処に、 想い至らない限り。
其の歪みは、 決して治される事無く、 残存し。
何時か、 総てを崩し去る。
互いが、 互いに、 治そうと希ったとしても。
戻る覚悟迄もが、 要るのに。
其処に、 気付けないのなら。
もう、 治す術など在ろう筈も無い。
「俺は一年以上お早うと言い続けたけれど。」 「姫は一度も返さなかったよね。」 「今言われて気付いたでしょ?」 「震災や仕事のせいで俺が変わったと想って居るでしょ。」 「間違ってるよ。」
絞り出す様に、 辛うじて伝えた其の言葉に。
姫は、 俺の言う事も尤もだと言わんばかりに、 頷いた。
其の程度の事に、 日々、 気付けないのだから。
姫と、 俺は。
もう、 掛け違った儘で進むしか、 無いんだよ。
唯、 崩壊を待ちながら。
---------- References Sep.13 2011, 「会話する気は在るのでしょうか」
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