既に一度、 其の言葉を伝えられた事など。
書類の山の一番下に、 放り投げて居た。
言葉に、 確かな意思が在るのだと。
感知は出来なかったから。
そして何より。
制約は、 未だ産まれた直後で。
解除される迄、 未だ道は遠かったから。
更に一度、 其の言葉を伝えられた事すら。
書類の山の一番下に、 放り投げて居た。
言葉には、 何の力も無いのだと。
喉元に、 刃を突き付けられ続けて来たから。
そして何より。
刃に刃向かう、 其の能力を。
此の身に、 未だ備えて居ないから。
其れでも、 一瞬で、 手元に其れを取り出せたのは。
埋もれた奥の一枚へ、 少しは、 自身の想いが共鳴して居たからだろうか。
視界から遠ざけようとして。
強く意識しながら、 隠しただけだったからか。
眠り爆弾が、 突然目を覚ますかの様に。
姫の、 一月前の言葉が蘇る。
「小坊主。」 「あと二ヶ月で結婚できるよ♪」
何らかの、 進歩を得る前に。
其の期限迄、 あと一月を切った。
其の事に、 姫は気付いただろうか?
---------- References Jul.26 2004, 「知らないふりは許されますか」 May.08 2004, 「気になる制約ですか」 |