暖かな春を希う、 其の名に委ねた想いとは、 裏腹に。
未だ遠い春を、 厳しい寒さを、 意識させる刻なのかも知れない。
或いは。
其の寒さを意識させる事で。
初めの其の刻を、 幾度と無く、 顧みさせて居るのかも知れない。
嘗て、 此の身に備わらなかった、 想いが。
少しは、 俺に、 育ち根付いただろうか。
此の一年で。
大雪の、 翌朝。
破裂寸前の部屋を、 如何にか、 宥め賺して。
凍り付いた道を、 慎重に、 慎重に、 向かった朝。
大雪の、 翌朝。
其の、 傷一つ無い珠を、 腕に抱え。
凍り付いた道を、 慎重に、 慎重に、 帰った朝。
起き抜けの銀世界は。
一年前の、 幾度と無い大雪を、 呼び覚ました。
---------- References Feb.01 2006, 「初めましてと言えるでしょうか」 Feb.02 2006, 「未だに呼ばれ慣れませんか」 Feb.09 2006, 「初めの言葉は何だったでしょうか」
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