啼かない携帯を見つめる時、 貴女は何を想うのだろう。
俺の状況を必死に理解しようとして、 自分の願望を、 心の中にぎりぎりで留めているのだろうか。
「私って五月蝿く無い?」
そう言いながらも、 貴女は自分の想いを次々に届けてくれる。
文を送り付ける一方の貴女。 文を受け取る一方の俺。
著しく均衡を欠いたとしても、 貴女は其れを望んでいて、 俺は其れを待ち望んでいるのだけれど。
また鳴った着信音に、 また俺は落胆する。
貴女の声で啼かない携帯。
鳴っても鳴っても、 貴女の声では啼かない携帯。
手元に届いたメール達。 同時に届いたメール達。
携帯は最優先で、 貴女以外の箱を開こうとする。
貴女の箱には、 また未読の記号が残された。
貴女の懸命な想いを、 誰かに邪魔されている様で。
少し恨めしい。 |