創り出した、 其の静寂に因って。
初めて浮き彫りに鳴る、 微かな音。
喧噪に埋もれて終い勝ちな、 其の音色に。
時に、 耳を澄ませて視るのだけれど。
好むとも、 好まざるとも。
其の領域と、 常に、 背中合わせに在り。
其の、 強く意識する微音すら。
決して、 感知出来ぬ感覚とは。
如何なる物なのだろうか。
恐らくは。
喧噪に住む存在よりも。
其の音を、 敏感に、 意識出来るのかも知れない。
「雪の音って。」 「どんな音なんだろう。」
杜に降る雪に。
坂の街の人の、 音色が、 届けられた。
微小な気泡が弾ける様な。 微細な破片を叩き付ける様な。
乾いた音。
音を総て封じて了う、 白銀の、 想像主は。
自身の創り上げた、 無音の上に。
微かな足音を響かせて、 降り積もる。
そして、 降り積もる静寂は。
「想いながら呑んだせいかな。」 「あれからずっと人恋しい・・・。」
「良かった。」 「私だけじゃなかったんだ。」
普段は感知出来ぬ、 想いの、 奥底の音を。
呼び覚ます。
---------- References Jan.01 2007, 「案外近くに居るのでしょうか」
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