緩と、 急と、 相反する粗密波を、 遣い分けて。
自身の想いを。
巧みに、 相手の内側へ、 贈り込むのだけれど。
飽く迄。
其処には、 相手の外壁に扉が在ると言う、 条件が付随する。
現実は。
緩も、 急も。
唯、 自身を攻撃する、 苛苛しい感情の暴発と、 受け取られ。
決して噛み逢う事の無い、 互いの拍子に。
歯噛みを、 繰り返すだけだ。
沈黙も、 応酬も。
姫にとっては、 俺からの非難にしか映らない。
想いを届ける術は、 もう、 手詰まりなのだ。
「嫌いなら良いのに。」
飛び交う刃に、 根負けするかの様に。
姫は、 言葉を絞り出した。
そうだね。
嫌いに成れば、 お互い、 簡単だね。
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