辿り着く位置が、 同一の地点に在ろうとも。
其の位置への、 道程は、 塵芥の数ほど創られる上に。
同じ過程を、 何度歩んだとしても。
触れ幅は、 毎回、 姿を変えるのだから。
一度切りの、 経験など。
如何程の役に立つと言うのだ。
寧ろ。
嘗ての状態と、 明らかに異なる今が。
余計に、 不安を誘発するのだから。
経験など、 無い方が良いのかも知れない。
「もう。」 「子供も産めないのかな。」
初めて観る、 姫の顔に。
「あのさ。」 「其の位は良く在る事だから。」 「だから念の為に検査って言ってたんでしょ?」
戸惑いを隠しながら、 平然と、 応えを絞り出した。
想いの結晶は。
順調に、 順調に、 大きさを増しながら。
其の、 周囲の海が。
異常に多いと。
告げられた。 |