偽装工作の成功と。
耳に届いた言葉の、 精度の高さと。
もしかしたら不要かも知れぬ、 二つの情報が。
同時に、 手元に届いた。
現時点で。
理解と言う蚊帳の外に、 俺だけが在り。
理解を得ぬ状態で、 此の儘、 時を経れば。
恐らくは、 歴史も繰り返すのだろう。
「姫の言ってた意味が。」 「分かったわよ。」
「でしょ。」 「だから結婚したくないの。」
姫と、 姫の母親の、 会話が。
隣の部屋から、 明瞭に、 漏れ出て来た。
「小坊主。」 「ぐっすり寝てたね。」
「そう?」
「仲良く・・・」 「犬と一緒に寝てたんだよ?」
「そうだったの?」
寝た振りに、 油断した言葉達を。
俺は、 聞かぬ方が良かったのだろうか。
姫と、 そして姫の母親が。
意味と称した、 其の正体を。
是が非でも、 俺は、 理解せねば成らぬ。
姫が再び。
離別を決意し、 悲しまぬ為にも。 |