無邪気に話す君の笑顔は、 俺を安心させる為に、 充分過ぎる程の笑顔だった。
無邪気に話す君の笑顔は、 俺を心配させるにも、 充分過ぎる程の笑顔だった。
「野球の話で盛り上がったんだよ!」 「彼と遊んじゃおうかな〜」
離婚歴のある大人の男性と比べれば、 君の旦那は明らかに子供だ。
だからといって、 君が遊びで人と向き合えるのか?
其れが出来ない事くらい、 自分で良く理解しているだろう。
そんな男性と接する機会が無かったから、 単なる好奇心で、 単に舞い上がってるだけだろうに。
「やめとけよ」 「不倫なんてそんなに良い物じゃない」
少し強めの口調。
意外な答えだったのか、 少し怯む君。
確かに俺は、 自分の事を棚に上げているけれども、 遊びに出来なくなった時に、 どれだけ自分を削らなければならないか、 それだけは理解出来ている。
「こちらもボチボチやっていきます」
夜中に届いたメール。 数日前より格段に落ち着いた言葉。
それで良いよ。
目の前の美味しい餌にすら、 決して喰い付けない。
それほど君は臆病者なんだから。 |