其の一文字は。
個として、 独立し得ぬ意や。
単独では、 取るに足らぬ意を。
多分に含んで居るから。
雑紙、 雑食、 雑多、 雑草、 雑費、 雑魚、 雑兵。
数々の言葉に。
然程、 格調高き雰囲気は、 見当たらないのだけれど。
其処には。
逞しき能力の高さが、 潜んで居るから。
決して、 其の力を低く見積もっては、 成らぬのだ。
原因は、 きっと俺に在る。
俺に居た、 其の存在が。
想いの交わりの際に、 移り棲んだのだ。
其れ故に。
「小坊主の。」 「雑収入と同じだよ♪」
「どうせ雑種だよ。」 「雑種は入って来るなって言いたいんでしょ!」
姫は、 其の一文字を使って。
俺を弄ぶけれど。
「雑菌がいるんだって。」 「お薬もらったよ。」
姫の、 痒みの震源が。
早く、 消滅して欲しいと想う。
姫の内に在る、 生命は。
其の一文字ほど、 逞しくは無いのだから。 |