高等な能力を、 其の身に、 有する筈なのに。
其の言葉の、 一つ、 一つが。
然程、 複雑な系を経ずに、 産まれるのは。
行動に、 報酬が伴う故に。
其の喜びを、 自身に刻み込もうと。
本能の領域が、 盛んに、 語り掛けて来るからだろうか。
歓喜を伴う、 此れからの出来事に、 直面して。
旅行の寸前には、 少しだけ、 高揚するのかも知れない。
「其のベルト、鳴らない?」
「鳴ったらどうしよう。」
「大丈夫でしょ。」 「腰の所、ちゃんと調べてくれるって。」
「大丈夫だよ!」 「触られても声出さないようにするから!」
大丈夫じゃ無いよ。
早く、 進もうよ。
手荷物検査を待つ、 長蛇の列が。
俺等の後ろに、 ずっと、 伸びて居るでしょ? |