如何に、 物理的な距離が、 離れて居ようとも。
何れ程、 精神的な距離ですら、 乖離して居ようと。
形として、 残存する事実を。
決して、 俺の眼前に現れた事の無い、 其の繋がりが。
形式として、 残存して居るのだと。
初めて、 現実的に認識したのは。
其の紙だったから。
「区役所にいるよ。」 「婚姻届もらいに来たの。」
冗談で始まる、 姫の、 其の文は。
「婚姻届もらいに来たの。」 「だったら幸せなんだけどね。」
其の二行を。
俺に伝えたいと、 想って居たのだろうけれど。
俺は。
「だったら幸せなんだけどね。」 「国民健康保険の用事だよ(笑)」
此の二行が。
十二分に幸せを内包すると、 想ってしまうのだ。
新たに。
姫の名が、 筆頭に記された、 保険証。
「ほら。」
姫は。
報告の為に、 其れを魅せたのかも知れないけれど。
報告ににやけた、 俺の想いを。
悟られなかったか、 少し不安だ。 |