目に映る、 相手の動作を。
自身の脳裏へ、 鏡の様に、 遷し盗る事が出来るのだから。
決して、 目には映る事の無い、 相手の脳裏も。
自身の脳裏へ、 遷し盗る事は出来ないのだろうか。
お互いが、 お互いを、 遷し盗って居る筈だと、 想い込んだのだ。
器が小さいと、 零された、 姫の脳裏は。
些細な切っ掛けで、 俺が姫に言葉を荒げた事を恥じたと。
遷し盗ったけれど。
器が小さいと、 零した、 俺の一言は。
深い爪痕を姫に残して終った、 俺の過去の行動を。
姫に詰られ。
昔、 俺を深く抉った姫の行動を、 脳裏に浮べて了った事に対して。
自身を、 恥じた物なのだ。
「俺、ちっちゃいな。」
「そうだよ。」 「小坊主は小さい事で怒・・・」
「ちょっと待てよ。」 「他の雄とキスする事がそんなに小さい事か?」
自身が、 言葉を吐いた瞬間に。
互いの勘違いと、 想いの浅さに気付く。
器が小さい雄だ。
過去を抉っても、 前進など、 出来ないと知って居るのにね。
---------- References Apr.18 2005, 「毎年一度は過去に還ると言う事ですか」 Apr.07 2004, 「其れでも欲しい唇でしたか」 |