隣の芝生は、 青く見えるけれど。
我が家の芝生は、 少し短めで、 痛く感じるかも知れないけれど。
其の芝生も、 此の芝生も。
根元に在る想いは、 きっと、 違いは無いのだ。
同じ流れが在ると、 感じた故に。
お互い、 理解し合えたに違いない。
其の場で交わす会話の、 一つ一つへ。
想いの一部を、 ふわりと流しただけで。
「上司と寝ればポスト、みたいな世界だから。」 「それで取った仕事でも、世の中の為じゃないんだもん。」 「小坊主は世の中の役に立ってるじゃん?」
同窓会で、 久し振りに会う同期は。
周囲の渦流に飲み込まれ、 藻掻いて居た。
其の流れから、 抜け出したいと願いつつ。
「其の人はさ。」 「色々経験して来た人みたいだけれど。」
「うん。」
「今は穏やかな幸せを望んで居るから。」 「だから俺と上手く行ってるんだと想うよ。」
「成る程ね。」
「手に入れば良いね。」
「うん。」
穏やかな、 幸せを。
望んで居るのだ。
数多くの流れを見て、 其処に、 流れ着いたんだ。
多分。
だから俺は。
姫の過去を、 覗かずに居させて貰えるんだね。 |