互いが互いを想うが故に、 生じた摩擦なのだ。
互いが、 互いの事を優先したが故に、 生じた諍いなのだ。
其れ故に。
其の主張が、 自身の想いと違った物でも。
反論は、 不要な筈だけれど。
相手の体調が、 其れを、 許さぬのだろうか。
「朝ご飯、自分で作ろうとか思わないの?」
姫は、 朝食を用意しない俺へ、 非難を浴びせる。
違う。
飽く迄朝食は、 俺自身の為の作業であって。
俺が譲れば、 如何様にも成る事なのだ。
忙しさに甘えて、 暫く呆けて放って置いた、 流しの洗い物や、 洗濯物の方が、 優先の課題であっただけ。
「だから小坊主とは。」 「一緒に住みたくないんじゃん!」
尚も、 言葉を重ねる姫へ。
其れを理解して居て、 後戻りの出来ぬ所まで進んだのは、 姫自身だろうと。
其れならば、 今から探して独りで住めと。
少しだけ怒気を孕んだ、 其の言葉を。
慌てて飲み込んだ。
「何で黙ってるの?」 「何も考えてないんでしょ?」 「どうでも良いのね!」
指摘は全て事実だ。
順序を違えただけでも、 今は事実だ。
そして。
攻撃的な想いなど、 発熱した姫に浴びせたく無いから、 択んだ無言だ。
確かに、 無言は何も産まないけれど。
---------- References Mar.05 2005, 「効果の問題では無いのでしょうか」 |