貴女が俺に見せたくなかった顔。 貴女が俺に隠しておきたかった顔。
「ごめんね」 「見たくなかったよね」
そう言う貴女の髪を撫でながら、 そう言う貴女に否定の言葉を投げかける。
「違うよ」
貴女が消し忘れてしまった顔を、 俺は偶然見たんじゃない。 俺は確信的にこの顔を見たんだ。
今更この顔を見た所で、 俺は引いたりするもんか。 俺は怯んだりするものか。
敵意。
俺はコイツだけには負けない。 俺はコイツから貴女を奪ってやる。
今此処にいるのは・・・ 深い交わりの中で、 初めて譫言の様に俺の名前を呼んだ貴女。
今此処にいるのは・・・ 脈打つ俺に反応して、 無意識に俺を締め付けてた貴女。
今目の前にいるのは・・・ 俺しか知らない貴女。 コイツの知らない貴女。
最後のキスは、 決してお礼のキスではない。
最後のキスは、 決して別れのキスでもない。
宣戦布告。 |