新居を、 持ち家を、 待ち望んで居た人だから。
描いては消し、 描いては消し、
我が家の間取りを、 何度と無く、 書き直して魅せた人だから。
其れは祝うべき事だと、 想い込んだのだ。
けれども。
違和感を感じ、 目を留めた自己紹介に。
僅かに加えられた、 変更箇所が。
携帯へ届かなかった、 年始の挨拶。
其の意味を、 少しずつ解させた。
「何かあったの?」
「気にかけてくださってありがとう。」 「元気なので」 「さらっと流してくださると嬉しいです。」
貴女と、 付き逢い始めた時から。
少しだけ他人行儀に成った、 其の口調の儘の、 応えで。
推測が、 想いとは逆の確信へと、 近付く。
大喜びして、 大騒ぎして。
凹んで、 堕ちて。
大泣きして、 大笑いして。
貴女の様な、 切り替えの速さを。
俺と同様に、 あの人は、 備えて居ない事を。
傍らの貴女は、 理解して居るだろうか。
引っ越し先で、 独り居るあの人を、 一番、 元気付けられる存在は。
きっと貴女だよ。
---------- References Aug.07 2001, 「別れは切なかったですか」 Sep.12 2001, 「近づけば解決できますか」 Oct.09 2001, 「どんな気持ちの好きですか」 Nov.30 2001, 「試されているんですか」 |