例え其れが、 道理に適わぬ事でも。
例え其れが、 深手を負わせる刃でも。
例え其れが、 後ろ向きの想いでも。
惑いや揺れを、 受け止め、 受け流し、 支える事に。
何の苦も無いのだ。
想いが、 前さえ向いて居れば。
或いは、 前を向く意思さえ、 其処に在れば。
其れ故に。
自身を振り返り、 強烈に、 後悔する羽目に陥る事でも。
相手の想いの奥底には、 其れは然程、 残って居ないのか。
姫の、 過去の残骸など。
幾らでも、 存在するけれど。
「私に旦那が居る事、嫌じゃなかったの?」 「旦那の名字使うこと、嫌じゃないの?」 「私に・・・」 「私に・・・」
「一人で生きる目途が立たなかっただけでしょ?」 「此れから生きるのに都合が良いからでしょ?」 「前向きに成りたかっただけでしょ?」 「前を向く方法が見えなかっただけでしょ?」
例え、 旦那の持ち物で在った時も。
姫は前を向き続け、 或いは、 前を向こうと藻掻いて居ただけだから。
奥底に残る、 迷いも、 苦しさも、 手を離す気も。
俺には、 産まれなかったのだろうか。
「でも。」 「私は小坊主の物じゃないよ!」
最後に、 放った姫の意地は。
俺への、 感謝の想いで良いんだよね。
---------- References May.05 2004, 「何方が必要な文字ですか」 |