強く、 強く、 想いを記憶として固化するには。
其の刺激を、 何度も、 何度も、 呼び戻す必要が在るから。
緩やかな幸福感では。
決して、 深く根付かないのだろうか。
眠りの間の、 記憶の固化作業を妨げ、 新たに、 上書きする為には。
何度も、 何度も、 強烈な刺激を誘導する必要が在り。
其の為には。
穏やかな、 包み込む想いでは無く、 激情で無ければならないと言うのだろうか。
目の覚めた、 其の瞬間の違和感で。
何れだけ、 想いで包み込んでも。
何れだけ、 此の身で温めても。
決して、 融かす事の出来ぬ氷壁が、 今も健在で在ると、 悟らされた。
寝起きの姫は、 後ろ向きで。
手も、 身体も、 声も、 無言も、 俺の全てを跳ね付ける。
姫の、 想いの中の俺は。
姫の夢の中で、 再び、 別れを告げるのだろう。
「小坊主。」 「もう、嫌いになったって言わない?」
ようやっと発した、 姫の一言に。
幾ら、 言わないと応えても。
---------- References Jul.12 2004, 「手の届かぬ夢ですか」 |