只、 単純に、 愛しき存在を見つめ続け。
其の振る舞いを、 飽く迄、 並べただけで。
其処に在るのは。
決して、 高度に学術的な物では無いけれど。
きっと、 其の的確な羅列は。
見た目以上に、 力を秘めた物に違いない。
其の観察眼が。
決して、 学舎で得た物に劣らぬのならば。
想いと言う物の、 其の中には。
未だ、 誰も気付かぬ能力が、 隠され、 潜んで居るのかも知れないと。
そう想うのだ。
「寝るときには。」 「すごく元気だったんだよ。」
「触ってたの?」
「小坊主がいびきかき始めたら。」 「大人しくなったんだよ。」
「研究してんのかよ・・・」
姫は、 昨夜も俺に触れ続け。
そして、 起き抜けに俺へ報告する。
極めて日常的で、 平凡な、 寝起きの会話で。
何故か。
一心不乱に虫を見続けた、 夏休みの宿題を、 想い出した。
拘りや、 事情や、 如何なる存在も、 其処に挟む事無く。
姫は、 一心不乱に、 俺を観て居るのかな。 |