彼の時、 歩いた街は。
仕事中に、 唇を奪いに行った街は。
風が強かったから。
台風と言う、 希に北国を訪れる嵐と。
其の、 帰宅時間の重なりに。
「無事?」
一言だけ、 届けば良いと想った。
電話も、 文も。
未だに、 壁に弾かれるのだろうか。
初めての年は。
其の場所から逃げる様に、 出先へ向かった。
二回目の年は。
重なりを避けるかの様に、 日をずらす事のみに、 心を注いだ。
其れ故に。
今、 未だ、 報いを受け続け。
心など、 安まらずに居るのだ。
そして、 きっと其れで良い。
誕生日。
姫の、 此の世に生を受けた日は。
きっと、 心のざわめく日で、 在り続けるのだろう。
其の誕生日は。
貴女の、 誕生日でも在る。
---------- References Sep.07 2004, 「今年も繰り返したのでしょうか」 Oct.19 2002, 「柔らかかったですか」 |