雲間の朝日に想うこと


< 直感が不貞を戒めるのですか >


間に流れる川を、
彼女が、
此方に渡り切る迄。

束の間の、
寝た振りをして。


高鳴る鼓動を直隠し、
背中を向けた儘。

じっと、
明かりが消えるのを待つ。




彼女は既に、
十分撒き餌を喰らったから。




化粧を落とし、
寝間着に着替えて。

彼女の温もりが、
背中逢わせに届いたら。


そっと、
牙を剥けば良い。











項に、
吐息を当てながら。

両の腕の内に、
後ろ向きの彼女を包み。


飽く迄、
然りげ無い偶然を、
装いつつ。


膨らみへ、
伸ばした指を宛てれば。


 「甘えるの上手だね。」


そう口にしながら。

彼女はきっと、
此方を向くから。





策略通りに、
其の眼を見つめ。


 「恥ずかしい・・・」


其の言葉を待って、
唇を重ねながら。


身に纏った物を、
一枚、
一枚、
丁寧に剥いで終えば良かったのだ。













けれども。









 「もしかして。」
 「ドキドキしてる?」


隠せなかった鼓動が、
彼女に、
届いて終った瞬間。


立場が、
一瞬にして裏返った。














悪戯っぽく、
瞳を輝かせながら。


 「しょっぱいよ・・・」


既に汗の乾いた此の身へ、
這わせた舌を。

彼女は、
ちらりと出して魅せる。












一瞬にして蘇る、
抑え付けた筈の記憶と予感。













 「久しぶりだなぁ。」
 「緊張しちゃう。」


嘘か誠か、
判断付かぬ言葉を、
口にしながら。

容赦無く、
彼女は俺を口に含み始めた。





----------
References
 Jul.27 2004, 「如何なる存在でしょうか」


2004年08月09日(月)


----------
History
2003年08月09日(土) 屍を拾えば未だ闘えますか





Add MyEnpitu

小坊主
MAIL