其の言葉に、 垣間魅せる想いを、 読み取れぬ程。
互いに未熟の筈は無い。
其の言葉が、 呼ぶであろう推測を、 予測出来ぬ程。
互いが未熟の筈は無い。
其れ故に。
自然で、 単純で、 素直で、 何も考えて無い雄を。
敢えて、 演じて来たんだ。
互いの波が、 重なり逢わぬ為に。
いや、 彼女の波に、 俺の波を重ねぬ為に。
飽く迄、 知らぬ存ぜぬ気付かぬを、 惚け通せる様に。
「悩み過ぎて眠れなくなる事。」 「あります?」
俺の性格を誤解して、 其の疑問を、 想い描いたのは。
誘導の結果で。
其れに気付かぬ程。
俺は、 馬鹿じゃない。
「用はないんだけれど。」 「電話しちゃった。」
其の言葉に込められた、 彼女の想いに。 |