目覚めと共に、 隣から届いた声に。
俺は未だ夢現つで、 寝惚けた状態に在るのだと。
自身へ、 勘違いを強いたのだろうか。
其れとも。
想像すらして居なかった音が、 侵入して来る事態に。
其の入口を、 無意識に閉じただけだろうか。
「私、怒ってるんだ。」
「・・・何に?」
自身の身体に巻き付いた、 其の存在から。
且つ、 唐突に放たれた、 言葉から。
想い浮かぶ其の因は、 一つも無かった。
「夢を見たの。」
「どんな?」
「小坊主が女友達とお風呂に入ってるの。」
欠伸で誤魔化した、 一粒の水滴と。
震える姫の身体。
隣で寝息を立てる、 其の姿が。
肱の内に、 其の重みを感知させる、 意識の中枢が。
苛烈な憤りを、 自身に向けて居る。
そんな不幸が、 俺の眼前に、 本当に在るのかと。
口惜しさで。
想わず、 肱に力を加えて仕舞ったけれど。
本当に口惜しいのは、 此の人だよね。 |