穏やかな日に。
穏やかならぬ文が、 携帯を揺らした。
「重大な相談があります。」 「電話したいんですが忙しいですか?」
昔を、 想い孵しながら。
受話器の声を聞き続けた。
離別の手段でも、 離別の代替でも、 無かった。
過去への、 想いの深さが不足して居たとは、 今も想わない。
けれども、 目の前の対象に、 好奇の感情が産まれた事は、 把握して居た。
そして。
困惑と、 混乱は、 間違い無く在った。
「前彼と別れたから。」 「小坊主を好きになったんじゃないよ。」
「前彼と別れるために。」 「小坊主を好きになったんじゃないよ。」
姫は、 異変の夜を覚えて居ないから。
重複の期間に、 想いの錯乱は存在しないけれど。
「小坊主は別れる手段として。」 「私を好きになったフリをしてるの?」
本当に、 貴女が必要無いのか。
其の解答は、 当時は未だ不明で、 今でも不確かで。
其れでも、 姫の瞳に石化させられた事実は。
此の時既に、 姫への感情が肯定で在る故の、 結果論。
何れを選んでも。
想いと行動が、 必ず矛盾して居るんだ。
遠距離の彼に、 頼れる同僚。
突如降って湧いた、 後輩の苦悩。
「告白されました。」 「私も好きな人です。」 「わからないんです。」 「遠距離の彼が好きなのか、必要なのか。」
「そっか・・・。」
肯定か、 拒否か、 同時進行か。
選択肢は、 幾つか在るけれど。
想いが、 定まらぬ今は。
全部正解で、 全部不正解なんだよ。
---------- References Feb.17 2004, 「何故撥ね返せなかったのでしょうか」 Jun.25 2002, 「支える資格がありますか」 Jun.20 2002, 「償うふりが出来ますか」 |