柔らかい、 其の膨らみに、 紅を乗せ。
つい寸前迄の、 猫撫で声を。
意識の外に駆逐すれば。
戦闘態勢の、 完成。
直前迄とは、 明らかに異なる、 其の表情で。
迫り来るんだ。
「何でティッシュで拭くのよ?」 「私の事、嫌いになったんでしょ!」
姫は、 苛烈に俺を攻めるけれど。
紅い唇の痕跡を、 此の身に纏った儘で。
しかも其の痕は。
金色や銀色に輝く、 金属片を、 含んで居ると言うのに。
家を出られる筈が、 無いだろう?
ほら。
姫だって。
俺が唇を重ねると。
また姫は、 嫌な顔をする。
朝御飯は、 納豆しか無いと。
そう言ったのは、 姫だろ?
---------- References Feb.01 2004, 「弄ぶ口付けを楽しめませんか」 |