想いが、 何処に在ろうと。
想いが、 どれ程膨らもうと。
其処には、 限りが存在し得る。
其処には、 想いを上回る存在が在る。
事情。
其れ故、 其の事情が、 想いを妨げぬように。
振り翳さずに済む事情なら、 其の存在を、 表出させずに蓋をする。
或いは、 自身の事情を、 相手に強要する代わりに。
最大限の配慮を、 其の相手に贈る必要が、 在るのではないか。
疑念と不安から。
姫が俺に、 ぶつけた想い。
「どうせ外では。」 「私の存在は話せないんでしょう?」
姫の事情を鑑みた振る舞いは、 不必要ならばと。
以来、 姫の話を俺が外で話す時にも。
彼女と言う言葉を、 使い始めた。
けれども。
あの時、 姫自身がどの様に感じて、 どれ程傷付いたか。
そんな事など、 とっくに忘れてしまったんだ。
「私の知り合いがね・・・」
姫の職場では、 俺は彼氏では無い。
ほら。
姫は話せないんでしょう?
俺の存在は、 公式な場所には話せないんでしょう?
---------- References Apr.11 2004, 「比べれば明確に失格ではないのですか」 Mar.12 2004, 「都合の良い状態が必要ですか」 |