求めて止まない物は、 形では無いと。
曖昧に感じ取って居るから。
望んで止まない物は、 想いに在ると。
曖昧に感じ取って来たから。
其の曖昧さを、 丁寧に感知しつつ。
求める処を、 探し続けて来た。
姫は既に、 形を有して居る。
俺の未知の領域に、 其の形が在る。
未知を明確に感じ取る事は、 出来ぬから。
試行錯誤で探すしか、 方法は無いのに。
「私の友達が。」 「八歳年下の彼氏と結婚したんだって。」
姫から届いた、 一通の困惑。
「中学生と小学生の子供も一緒に。」 「その報告を聞いた時。」 「すごく不安になった。」
中学生と小学生の子供も一緒?
姫の息子が受験を終える迄は、 俺と姫の事は二の次と、 確認した筈だろう。
「何故一緒にいたいのか言葉に出来ない小坊主と」 「このまま一緒にいても良いんだろうか・・って。」
何故一緒に居たいか言葉に出来ない?
何処が好きかを答える事は、 上手く出来ないけれど。
何故一緒に居たいかなら、 姫が聞かないだけで、 何度と無く伝えて来た心算だ。
「何故一緒にいたいのか言葉に出来ない小坊主と」
其の言葉は、 姫の口から聞かされた事すら、 無いだろう。
少なくとも。
姫は未だ、 人の持ち物だ。
飛び立つ怖さを和らげてから。 姫の都合を最大限受け入れて。
其の想いが、 優しさでは無いのなら。
其の想いが、 姫の為にならないのなら。
俺は何時でも良い。
自分の都合と、 自身の想いを、 刃として姫に突き付ける用意は、 整って居るんだ。 |