< 説教したのは間違いですか >
未だ生活感に乏しい部屋。
山積みになった箱。 真新しい部屋の匂い。
手を入れた直後であろう部屋の壁は、 白く明るく、 カーテンやカーペットのパステル蛍光色が、 良く映えていた。
大小様々な大きさの皿が、 所狭しと並ぶ食卓机。
揃いの箸すら無い住処に、 二人分の食事が用意されている。
「念願の一人暮らしを始めました。」 「初めてです。」
確かにこの事実を聞いてはいたけれど。
「ドライブするには良い季節になりましたね。」 「夜桜を見に行きませんか?」
この言葉からは、 彼女の部屋に足を踏み入れる事になるなど、 連想すら出来なかった。
着々と整備される、 彼女の城。
築城作業の一端を手助けし、 単に石垣を積み上げるだけの俺だけれど。
彼女の相手より先に、 俺の親友より先に、 俺はこの地に侵入してしまった。
---------- References
Nov.10 2001, 「黙っておくべきでしたか」 |
2003年04月16日(水)
---------- History
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