初めて共に訪れた地で、 初めての二人旅で、 犯した一つの過失が。
不信感を、 深く植え付け。
夢に迄出現して。
時を経て、 丹念に、 丹念に、 強い記憶として、 固化されて行ったから。
どんなに些細な事でも。
どれ程、 関連の薄弱な事象でも。
其の記憶を、 呼び覚まし得る振る舞いは。
鋭く、 想いを切り刻むんだ。
其れだけで、 離別の十分条件では無いのか?
性格の、 ほんの一部分が嫌い。
許せない。
そんな対象と、 一生寄り添う事が可能だろうか。
俺以外とならば。
姫は何処でも、 安心して行けるのならば。
離別の選択が、 姫にとって幸福だろう。
「俺以外の方が良いなら。」 「選んでよね。」
「其の考えはずるくない?」 「私に委ねるわけ?」
そう問われても。
俺は、 離す気が無いのだから。
俺は何時か、 記憶を包んでやろうと想って、 居るのだから。
失格なら、 早く烙印を押して欲しい。
---------- References Mar.30 2004, 「何処が好きと言えますか」 |