< 貴女に逢いたかったのか >
春の日差しに溢れた暖かな公園で、 仔犬と戯れる。
「ヨシヨシ。」
仰向けに腹を出して、 満足気に目を細めた子を見ていると、 何故微笑みではなく、 苦笑いしか出来ないのだろうか。
貴女のお願いは、 俺への注文は、 兎角変わった物では無かったのに。
「今度逢った時は思いっ切り撫でてね。」
「うん。」
貴女のお強請りが、 俺への要求が、 脳裏に貼り付いて接がれない。
「ムツゴロウさんの様に撫でて欲しいの。」
「貴女は犬かっつーの。」
懸命に尻尾を振って、 懸命に腹を出して、 懸命に甘える犬の姿が。
今日は何度見ても、 貴女の姿にしか見えない。 |
2003年04月13日(日)
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