僅かな切れ端から。
違和感を捕らえ、 大まかな像を捕らえられる事を。
幸福と想い、 不幸だとも想う。
適当で無ければ、 其の声など聞ける筈は無いけれど。
適当に発信した電話で無ければ、 発信すら出来ない自身を、 理解して居るけれど。
「どうした?」 「寝てたの?」
「うん。」 「ちょっと風邪ひいたみたい。」
其の適当な時が、 相応しい機会で無い事を。
電話の相手は、 気軽に話す体調では無い事を。
少し残念に想った。
相変わらず、 自分から切断出来ぬ通話。
相変わらず、 またねの言葉の後に発動される、 口付けの音。
「小坊主ぅ。」
相変わらず、 思わず口を付いて出る、 俺への甘え。
貴女も、 俺も、 未だ何も変化出来て居ない。
同じ苦しみで悩む日々が、 きっと戻って来る事を。
本能的に 理解出来て居る筈なのに。
戻ろうの一言さえ在れば。
もしかしたら、 元の鞘に収まるのかも知れないな。
---------- References Jan.26 2004, 「窺って居た好機なのでしょうか」 Jan.30 2004, 「整理の付かぬ記憶でしょうかか」 |