触覚と、 味覚と、 場合に依っては聴覚と、 更には視覚と。
複数の感覚を、 想いに載せて同時に絡め合う故に。
一本では無く、 何本もの絆を築くに値する行為。
其処に潜む意味合いが、 其れを自身の支配下に置くには、 多過ぎるから。
無意識下で、 何時の間にか。
意識下への想い付けを、 済ませて了うのだろうか。
奴の彼女から、 奴へ告げられた言葉。
「私たちって。」 「キスの相性悪いよね。」
相も変わらずに。
鋭利な刃を持つ、 其の言葉で。
彼女は自身の想いを表現する。
其れならば。
奴も其の想いに、 応えれば良いんだ。
「相性ってさ。」 「電気が走るか走らないかなんだよ?」
「彼女らしい甘え方じゃん。」
キスの瞬間。 一瞬身構える彼女の口に。
容赦なく電気を浴びせて、 遊んだら良いさ。
---------- References Oct.30 2003, 「重ねる唇に潜んで居るのですか」 |