雲間の朝日に想うこと


< 悪戯の通話で良かったでしょうか >


意を決した想いの、
出鼻を挫かれる事など、
さほど苦では無いけれど。


挫かれた後の出鼻に、
想いが返る時。


何故此処迄狼狽するのだ。






耳元で流れる呼出音が、
一瞬の間を置いて、
録音された伝言へと切り替わった瞬間、
通話を遮断した。


仕事かも知れない。
出先かも知れない。

駄目元の呼出音は、
成就する可能性などほんの僅かで良い。


其処に残される想いは、
残念より、
寧ろ安心感だったのに。






直後に震える携帯と、
白色の着信色。

震える想いと
震える指。


発信以上に、
受信には勇気を必要なのか。









 「小坊主ちゃんから電話なんて。」
 「滅多にないでしょう?」


劇場で見て居た映画を抜け出して、
電話を掛けてきた貴女。

半月程前は、
頻繁と言う単語で埋められた筈の文も、
俺の呼び名も、
正確に姿を変えて居た。











其処迄、
俺は要求して居ない。

其処迄、
俺は要求出来ぬ立場。


自覚とは裏腹の想い。




 「イタ電。」

 「えぇ〜?」
 「そうなの〜?」



最初に口から出るべき言葉は。

悪戯電話で、
きっと此れで良かったんだよね。


2004年01月12日(月)


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